Abstract
都市はある具体的な地名をあげれば具体性を獲得するが、都市という言葉においてはそれらを包括することで抽象的な言葉へ昇華される。
私は本作品において、具体性を持ちつつも抽象的な都市という概念におけるランドマークを提示する。
ランドマークとは都市や街における象徴であり地理学上の特徴物のことで、例として東京の東京タワーやニューヨークの自由の女神をはじめ、身近なところでは渋谷のハチ公や109なども挙げられる。
つまり本作品における「ランドマーク」の制作から、抽象的な都市を表現した。
文献によるリサーチから都市の構造を反応・拡散現象の集積と仮定し、反応拡散モデルの根源的な形状を都市や街の構造における最も根源的な要素と位置付ける。そのうえで反応拡散モデルのアルゴリズムを利用してモニター画面の前にテクスチャリングされた造形を配置する。素材としてクリアレジンを利用することで、画面に映し出される見慣れた都市の風景を反応拡散モデルのテクスチャによって再構成する。
本作品を俯瞰することで様々な歴史が蓄積し創られた既存の空間に対する新たな視覚体験の提示とともに、ローレンス・レッシグの提唱したアーキテクチャが背後に存在する都市像の再考を目指す。