作品写真
Abstract
本作品は、ディスプレイの中の人と立体の人の、2つの要素で構成されています。ディスプレイの中の人は、三角形のポリゴンで形作られていて、三角形ひとつに4つのデータがあります。
それは、三角形の頂点の値と表裏の向きを示す値で、デジタルデータであり、数値です。立体の人は、ディスプレイの中の数値を、物理空間にて実現可能な数値に置き換えてできた人です。
ディスプレイ内の数値の集合であるデジタルデータが継承されて、立体の人ができています。
本作品は3dプリンタなど使わずにデジタルデータを実体化し、情報機器が持つ情報量と人が受容できる情報量の差を明らかにしています。情報過多の現代における表象と
て、人が受容できる情報量による、いびつな形を彫刻作品によってを示しています。
人の形をした立体は、私がコンピュータで制作した3Dデータがもとになっています。(fig.1{左})
このデータは210,887もの三角形の面で構成されており、人間が一度に整理する事ができる数値ではありません。そこで三角形の面の数を四角のキューブに変換する事で情報量を整理しています。(fig.1{右}
fig.1 立体の基礎となるデジタルデータ(左)と立体の形状(右)
キューブの情報を2,784個まで整理し、キューブの集合一層ずつを取り出して配置を確認します。積み重ね(フィジカルモデリング)て形を制作していくため、一つ下の段の”接着面”があるキューブを-赤い色-としてコンピュータ上で視覚的に確認し、物理的にも成立する形状を担保しています。(fig.2)
展示の際は、デジタルと物理の空間における受容可能な情報量の違いを示すために等身大スケールの65インチモニターを比較対象として隣に並べています。ディスプレイの内と外をデジタルと物理の空間として、構成することを意識しています。
fig.2 立体の基礎となるデジタルデータ(左)と立体の形状(右)
fig.3 デジタルヒューマン
fig.5 展示風景
fig.6 展示風景